たねまめ 香と蝋燭展 たまゆら 盛り上がる設営編

10月31日 水曜日 晴れ

川越からたねまめさんのある相模湖駅へは電車で2時間弱。山々に近づくにつれ澄んだ冷たい空気が停車駅から車内に入り込む。シャカシャカと音のする登山客の乗り降りが目立つようになる。

相模湖駅と言えばたねまめさんのほかにプレジャーフォレストが有名である。マッスルモンスターというアスレチックがテレビで紹介され客足が伸びているが、この時期はイルミネーションも人気で夕方からは道路が混むそうだ。私は学生の頃に一度クラスメイトとキャンプをしに利用したことあるが、当時はそのようなサービスはなかったと記憶している。買い込んだ食材をオートキャンプ場で焼いて食べてロッジで休んで遠くの山に日が昇るのを木の上から眺めた。

たねまめ店主(以下、店主)の運転する車で相模湖駅からお店へ。店主は「私は雨女、しかし今日は晴れてよかった。」と言うがこの日は設営するための日であり、週末からの展示開催日が晴れるかどうかが問われるべきだと思い、伝えた。相模湖ではスワンボートの世界大会たるものがあると聞いて驚いたが、店主の知人が6位になったと聞いてさらに驚いた。

この展示シリーズは一昨年の11月が初回で、去年の11月に二回目を開催。そして今回が三年目にして三回目。そうなると「毎年恒例」という言葉がしっくりくるようになる。共同展示の相手mek&jirraさんとの設営も段取りが良くなり、足りない什器は店の庭から勝手に持ち込むといった大胆さも身についた。店主もmek&jirraさんもお話上手なため、設営が完了する頃には声が枯れシワが増えるのであった。

「小さな秋をそここに見つけるようになったがこの辺りの紅葉の見頃は展示が終わる頃でしょう。」という季節に対するやりとりが店主との間であったが、去年も一昨年も全く同じことを話した。だが我々は違っている。このくだりは今回の展示の主題に近い。一年経てば同じ位置から月は顔を出すし、落ちた葉はまた茂るのに対して、私と言えば一昨年好んで着ていた服は野暮ったくて着れないし、額は後退するばかり。毎年決まった運動を安定して繰り返す自然に対して、人の世はあまりにも早く儚く過ぎ去っていく。